「副業で月5万、と言われても何から手を付ければいいのかわからない」
「『月収100万』みたいな話はもう読み飽きた、もっと現実の段階が知りたい」
——そんな気持ちで検索された方も多いはずだ。
私自身、フリーランス → 会社員復帰 → 副業再開という三段階を経て、いまようやく月5万の節目に立っている。タイトルには「段階別ロードマップ」と書いたが、私は綺麗に段階を踏まなかった変則ルートの人間だ。その正直なところも含めて、これから書いていく。
「月5万円」は副業の最初の節目——なぜここを目標にすべきか
『月5万って中途半端じゃない?』
そう思った方もいるはず。先に答えておくと、中途半端だからこそ、本業を残したまま堅実に狙える金額だと私は考えている。
月5万円は、不思議な節目だ。家計の中で固定費を一つ吸収できる。ふるさと納税の枠が広がる。家族での外食を月一回増やせる。住宅ローンの繰り上げに回せる。生活が「ちょっと楽」になり、本業の小さな理不尽に対する耐性が上がる。それでいて、本業を辞めて飛び出すほどの金額ではない。だから精神的な圧力なく続けられる。この「ちょっと楽 × 飛び出さなくていい」の組み合わせが、この節目の本質だと思っている。
月収100万のような派手な目標は、もちろん夢がある。だが、いきなりそこを目指すと毎月の現実とのギャップが大きすぎて、走り出す前に膝が折れる。私自身、独立時代に大きな目標だけ持って結果として失速した経験がある。だからこそ会社員に戻った今は、まず「月5万円」という到達可能な節目を最初の物差しに据えている。
副業の話で本当に重要なのは、目標が「現実のもの」として頭の中に置けるかどうかだ。月5万円は、その意味でちょうどよい。明日の自分が「今月あと2万足りない、もう少しだけ手を動かそう」と思える距離感にある。月100万を掲げた瞬間にこの距離感は消える。
ちなみに会社員に戻った経緯については、別記事に書いた [内部リンク予定: フリーランスから会社員に戻った理由] を参照してほしい。本記事はその続編にあたる。
私のロードマップは「綺麗な段階」ではなかった——正直な経路の開示
一般的に語られる副業ロードマップは、こんな階段モデルになる。
きれいな表だ。だが私の場合、この表の「数千円帯」「1万帯」の行はほぼ空欄になる。会社員に戻ってからの1年半、副業の売上はほぼゼロだった。周りには「動画編集の仕事をしています」と言いつつ、頭の片隅では「いや、動画編集じゃないほうがいいんじゃないか、もうやりたくないな」とずっと思っていた。案件をいただけるような状態にはなっていたのに、自分から断っていた。1年半、その葛藤の中にいた。
副業を「やる」と決めて再開したわけでもない。明確な決意は無く、なんとなく頭の片隅でずっと考えていた、というのが正直なところだ。動画編集の頃の編集疲れの記憶が残っていて、同じ轍を踏みたくないという拒否反応が先に立っていた。
最初に動いたのは、副業というより居場所探しのつもりで再開した YouTube だった。だがこれは続かなかった。ものの一週間ほどで失速し、頻度を落として再挑戦してもやっぱりダメで、「自分には向いていない」と早々に結論が出た。
その後、学習中だった AI・ノーコード(AppSheet)の発見や実装メモを、入っていたコミュニティの内部 SNS でぽつぽつ発信し始めた。YouTube とは別の流れだ。すると、その発信を見ていた人から声が掛かり、業務アプリ制作の案件につながった。1案件あたりの単価が、これまで自分が受けてきたものとは桁が違う、自分史上最大の見積もりだった。それが通り、半金が頭金として入金された瞬間、もう嬉しくて仕方なかった。「副業として、ひとつの事業として一段抜けたな」という感覚がはっきりあった。
半金が振り込まれた瞬間の私、ガッツポーズ。みっともない。だが、その「みっともない瞬間」までの1年半の沈黙があったからこそ、ガッツポーズの中身が濃くなった。
「『じゃあロードマップ書く意味ないじゃん』というツッコミが聞こえる」。たしかに私自身は表の階段を踏まなかった。だが、自分が今どの段階にいるかを言語化する物差しとして、この階段モデルは依然として機能する。「私は今、表の何行目にすら乗っていないんだな」と気付けるだけで、次の一手は変わる。私の場合は「乗っていない自分」を1年半受け入れ、空振りの YouTube を挟みながら、たまたま続いた発信の先で表をスキップして5万の節目に出た。これも一つの経路として開示しておきたい。
前回の失敗が教えてくれた「然るべき単価で受ける」覚悟
「『そうは言っても最初から強気で値付けなんてできない』そう思うはず」。私もそう思っていた。独立していた頃の私は完全にそうだった。だからこそ今になって、当時の構造の何が間違っていたかを言葉にできる。
独立時代、納品しきれずに終わった案件がある。映像系の演出仕事で、特殊なエフェクトのデザインが必要なものだった。スキルという意味で、動画を作る力は足りていた。問題は別のところにあった。単価が低すぎたのだ。
返済が毎月発生する状態での独立で、月額の契約金額からまず生活費と返済を引くと、外注に回せる現金がほぼ残らない。エフェクトのデザインが得意な誰かにお願いして、私がマージンを取って納品する——今の私ならそう設計する。当時の私はそれができなかった。「全部一人でやらなければ」という発想しか持てなかった。考えている間に納期が来て、できなかった。
スキルが足りないから失敗したのではない。単価が低すぎて、人を頼る選択肢が予算側から消されていた。金銭的状況と独立の縛りが絡み合って、構造として一人で抱えるしか道が無かった。これが当時の正体だ。
この経験がトラウマになって、会社員復帰後の私は「動画編集を受けるのが怖い」とずっと思っていた。1年半の沈黙の正体の一つはこれだ。
だからこそ今、副業では「然るべき単価で受ける」を強く意識している。安く受けて全部抱える構造に二度と入らない。これは技術論ではなく覚悟の話だ。あなたの分野が動画編集とは限らない。AppSheet かもしれないし、まったく別の何かかもしれない。ただ「安く受けて全部一人で抱える」だけは、私の失敗の轍として避けてほしい。
単価の話と外注設計の話は深掘りすると長くなるので、別記事 [内部リンク予定: 副業の単価交渉と外注設計] で改めて整理する予定だ。
本業と副業は両立できる——「デベロッパーズハイ」で遊ぶ感覚
「『そんなはずない、両立なんてキツいに決まってる』そう思った方、私もそう思っていた」。だが実際にやってみたら、ちょっと違った。
私の本業はシフト制で、遅番のときは正直少ししんどい。それでも、副業のアプリ開発時期に「キツイな」と感じることは特になかった。理由ははっきりしている。要件の洗い出しと、データのモデリングと、実装——この三つが楽しくて、ほとんど遊んでいる感覚で手を動かしていた。私はこれを勝手に「デベロッパーズハイ」と呼んでいる。
ここが両立可能性の本丸だと思う。「楽しい」と感じられるテーマを選べているかどうか。これが副業の燃料効率を決める。きついテーマをきつい時間にやれば燃料は一気に切れる。楽しいテーマなら、本業終わりの夜にも手が伸びる。両立できる/できないの議論より先に、自分が燃料を補給できるテーマに乗れているかを点検してほしい。
ここで AI・ノーコードの話を少しだけ補助線として入れておく。AppSheet と Claude Code は、副業のスピードを底上げしてくれる強力な道具だ。だが、現場に納品したときの反応は、こちらが期待するほどには熱くない。喜ばれるかと思って渡したら、現場は Excel と同じ並びで業務アプリを見ている。ヨシ!と思って納品したらリアクション薄。熱くなっていたのはぜーんぶ自分の脳内だった、というやつだ。これは健全な現実認識として書いておきたい。
道具の境界も正直に書く。AppSheet はやろうと思えば色々できるが、対象はあくまで社内業務アプリだ。顧客向けに外へ開いたアプリとして展開しようとすると、ほぼ無理だと思っておいたほうがいい。私はそこで一度判断を保留にした。
Claude Code はモデリングの壁打ち相手として優秀だが、平気で違うモデリングを出してくることがある。ここは強く言っておきたい——AI が出してきたモデリングを盲信するのは危険だ。あいつら現場感ってのを持っていない。最終的に現場のリアルと擦り合わせるのは、自分の責任の範囲だ。AI を使う副業の立場としては、「壁打ちまでは AI、判断は自分」の境界線をはっきり引いておかないと、納品物が現場で浮く。
道具との距離感の話は別記事 [内部リンク予定: AppSheet を副業で使うときの境界線] で改めて掘る予定だ。
これから副業を始める人へ——「たのしい」を物差しにする 3 ステップ
ここまで読んでもらってわかる通り、私のロードマップは綺麗な階段ではなかった。それでも、今振り返って後輩の自分に渡したい順序があるとすれば、こうなる。
- やってみたい副業を 2〜3 個、並列で小さく試す。最初から一つに絞らない。絞った瞬間に逃げ場が無くなる。
- 作業中の「たのしい」と「めんどくせぇ」を観察する。手応えは収入よりも先に、自分の感情に出る。
- 「めんどくせぇ」が出たら外注するかやめる、「たのしい」が残ったテーマを単価ごと育てる。残った一つを、然るべき単価で受けられる形に磨いていく。
なぜ「たのしい」を物差しにすべきか。理由は単純で、作業中の一瞬の「めんどくせぇ」は、全作業に波及していくからだ。最初は小さな引っ掛かりでも、何十時間と積み重なる副業の中で、その引っ掛かりは確実に拡大する。ある日突然、案件全体が「やりたくないもの」に変質する。私が動画編集を受けるのが怖くなったのは、この波及の結果だ。
よくある質問
Q. 月5万までどれくらいかかる?
A. 私の場合は復帰後1年半、副業の売上はほぼゼロだった。動き出してからも YouTube が空振りに終わり、その後たまたま続いた発信の先で一案件をつかんで節目まで出た変則ルートだ。階段モデルで段階を踏むなら、一般論として半年から1年が目安と言われる。だが個人差は大きい。期間に縛られすぎないほうがいい。
Q. 副業は一つに絞るべき?
A. 最初は並列を勧める。手を動かしてみて、自分の感情にちゃんと「たのしい」が残るテーマに後から寄せていく。これは机上で決められない。
Q. AI ツールに全部任せていい?
A. 壁打ちまで。最終判断は自分。AI は現場感を持っていない。私は AI を使う副業の立場だが、この境界線だけは譲らない。
「『結局やってみないとわからない、で終わるのかよ』そう感じた方もいるはず」。そう、そこは正直に書く。だからこそ「並列で小さく試す」を最初の一歩に置いている。やってみないと自分の「たのしい」がどこにあるかは確定しない。
最後に、単価の話で迷っている人にも一言渡しておきたい。「自分なんかがこの単価を受けていいのか」という不安は、あって当然だ。独立した頃の私がまさにそれで、安く受けて失敗した。それでも続けていれば、「この単価で受けて然るべきだ」と腹から思える副業に、いつかたどり着ける。私の場合はそれが AppSheet を使った業務アプリ制作だっただけで、読んでいるあなたの場合は動画編集かもしれないし、まったく別の何かかもしれない。ここばかりはやってみないとわからないので、とりあえず色々やってみたらいい。
時間管理の具体的な工夫については別記事 [内部リンク予定: 副業 本業 両立 時間管理] で扱う予定なので、興味があればそちらも覗いてほしい。AppSheet を副業の入口として検討している方には [内部リンク予定: AppSheet を副業で始める入門ステップ] も別途用意する。
まとめ
月5万円への道は、綺麗な階段とは限らない。私のように、長い沈黙と空振りを経て、たまたま続いた発信の先で一案件をつかみ節目に着くルートもある。大事なのは、自分が今どの段階にいるのかを物差しで一度言語化してみることだ。階段の何段目にも乗っていない自分を直視できれば、次の一手は自然と見えてくる。
ここまで読んでくださりありがとうございます。あなたの副業が、まず最初の節目までたどり着けることを願っている。